1962年に大阪府和泉市で創業の堀田カーペットは、ウィルトン織機でウールカーペットを作り続けています

【WEB工場見学】世界で唯一の織機を使ったWOOLTILE for Homeのものづくり

    堀田カーペットのWOOLTILE for Homeは、「アキスタイル」という織機を使ってつくられています。

    「アキスタイル」の特徴は、50cm角のタイルカーペットでも柄がきちんとつながるということです。

    今回はWOOLTILE for Homeのものづくりをご紹介しながら、なぜ柄がつながるのか? 他の製品と何が違うのか? ということをものづくりからご紹介させていただきたいと思います。

    一般的なタイルカーペットとは

    一般的なタイルカーペットのつくりかたは、3.64m幅の大きな機械で(専門用語でタフテッドマシーンと言う)、布に田植えのように糸を突き刺す方法でつくられています。一度長い反物をつくり、裏側に樹脂をつけ、最後に型で打ち抜いてつくられています。
    打ち抜きでつくられていると、反物が少しでも歪んでいたりすると柄どおり真っ直ぐ切ることは難しく、タイルカーペットは基本的に柄がつながらないことが前提でつくられています。(柄がつながらなくても、柄にみえるようなデザインなど)

    弊社のWOOLTILE for Contractはこの一般的なつくりかたでつくっています。

    50cm×50cmを1枚ずつつくるWOOLTILE

    WOOLTILE for Homeは、堀田カーペットの和歌山工場でつくっています。みかんで有名な有田から更に山の中に入っていった、日高川町というとてものどかな場所です。

    WOOLTILE for Homeは50cm×50cmの接着剤のついた基盤を熱板で溶かし、溶けた接着剤に糸を1列ずつ植えていく方法で作られています(専門用語でボンデッド工法と言う)。1列あたり156本の糸を柄にあわせて選び、基盤に植え、その列を156回植えると1枚が完成する、という作り方でつくられています。ですので、どんな柄でも合わせることができます。

    こういった作り方をしている会社は世界でも堀田カーペットだけです。

    2017年に、この「アキスタイル」でカーペットを生産していた企業が廃業しました。私たちはこの技術を絶やさないため、産地として存続していくために、機械を買い取るとともに、職人にも一緒にきてもらい、和歌山工場を増改築し、2年ほどかけて稼働できるようにしました。

    それでは、工程ごとにWOOLTILE for Homeのつくりかたをご紹介します。
    WOOLTILE for Homeの工程は「基盤工程」と「製織工程」の2つが並行して行われます。

    基盤工程

    まずは50cm×50cmのクッション材(不織布)にオリジナルの接着剤を塗布します。

    機械でいうと約10mにおよぶ工程で「塗布」→「冷却」→「カット」という流れで基盤が完成します。

    単純に10mの工程を流れると完成するわけではなく、正確な寸法を出すためにも、余分な接着剤が付着していると、良い製品ができないため、最終工程では、余分な接着剤部分を手作業で1枚ずつ仕上げていきます。

    製経工程

    次に糸を準備します。(ワインダー工程)

    アキスタイルは1色あたり、156本の糸が必要です。最初の工程は、重さで仕入れた糸を必要な長さに合わせて、156本の「コマ」をつくることから始まります。

    156本のコマは、「クリール」という糸を供給する場所に設置されます。新しい商品を織るときには、このクリールについている古い糸を切って、新しいコマを手作業でつけていきます。2色のカーペットだと、312本のコマが必要になります。

    クリールに設置されたコマ

    コマの糸は機械へとつながっています

    製織

    「アキスタイル」というオリジナルの織機に基盤をセットし、糸(コマ)をセットすると、いよいよ製織です。写真だけでは非常にわかりにくいのですが、
    「必要な糸を選ぶ」→「選んだ糸をつまむ」→「糸を基盤に植える」
    という順番で1回で1列(156本)ができます。156回繰り返すと、50cm×50cmのタイルカーペットが出来上がります。ですが、これだけではまだ完成ではありません。

    大体1日で20㎡(100枚)程度しかつくることができません。

    世界で唯一の織機「アキスタイル」です。

    必要な色糸をつまみ、植えていきます。

    必ず職人が見守ります。

    乾燥機

    製織の工程でも熱を加えながら糸を基盤に植えているのですが、製織を終えたカーペットを再び加熱していきます。約20mほどの乾燥機の中をとおり、接着剤をきちんと糸に浸透させて、糸がぬけないようにするためです。まだこれでも完成ではありません。

    シャーリング

    製織した状態では、まだ表面はきれいな状態ではありません。カーペットの先端を0.1mm程度、4方向から糸を削り取る工程「シャーリング」することで、ようやくタイルカーペットとしての形が完成します。

    滑り止め加工

    このままだと、床に敷いても滑ってしまうため、裏面に特殊な素材を用いた滑り止め加工を行います。この滑り止め加工も独自に開発したものです。

    補習場

    こうしてできあがった商品は、丁寧に検品し、問題があったものは手作業で補修をします。
    WOOLTILE for Homeは、156本×156本、つまり24,336本の糸で50cm×50cmのタイルカーペットができています。
    当然のことですが、1本でも糸が抜けていたりすると製品にはなりませんが、アキスタイルという機械の特性上、どうしても糸がうまく選ぶことができなかったり、うまく植えられなかったりすることがあります。このような場合は、1本ずつ糸を植えて製品に仕上げていく、これが補修工程になります。

    このように、たくさんの工程を経て、WOOLTILE for homeは製品になっています。一般的なタイルカーペットに比べて値段が高くなってしまう理由は、素材にこだわっていることと、柄をきれいに合わせるために、「アキスタイル」という特殊な機械をつかって、丁寧に作られているためです。

    皆様には、ウール素材でクッション材のついた気持ちが良い踏み心地とともに、柄をあわせることができるWOOLTILE for Homeをパズルのように楽しんで使っていただけると、大変うれしく思っています。

    (参考)
    WOOLTILE for Homeと他のタイルカーペットはどう違う?

    ダイニングスペースにDIYカーペット。WOOLTILE実践編case.01

    団地のフローリングをカーペットにDIY。WOOLTILE実践編case.02


    WOOLTILE ECサイト

    WEB工場見学記事一覧
    https://hdc.co.jp/category/dictionary/craft/