DICTIONARY
ウールカーペットの吸湿性を検証。フローリングや化繊の床材と比較実験しました
天然繊維であるウールにはさまざまな機能があることが認められています。
撥水性や汚れの落ちやすさ、復元力など、これまでもDICTIONARYの中で実験してきましたが、ウールは湿度をコントロールする調湿性も優れているといわれています。
今回は調湿機能を検証するべく、床材によく使われるフローリング、ウール、ポリプロピレン(PP)、ポリエステルの4種類の素材で、比較実験をしてみました。
1.フローリングの場合
まず、90℃のお湯が入ったグラスと湿度計を用意し、市販の水槽をさかさにした状態でかぶせます。ちなみに水槽のサイズは幅39.8cm×奥行き25.4cm×高さ28.0cmですので、一般的な6帖のお部屋のおおよそ1/1000のスペースになります。
だんだんと曇ってきます。
湿度が80%になったところでグラスを取り出し、実験スタートです。
天然木のテーブルをフローリングに見立て、そのまま10分ほど経過を観測します。
3分経過 湿度81%
5分経過 湿度82%
10分経過 湿度84%
ここで終了します。結果として湿度は84%になりました。上がったというよりは密閉空間で湿度が安定したものと思われます。天然木には吸湿性がありますが、傷やそり防止のために家具やフローリングでは樹脂でコーティングされていることが多く、合板であれ、天然木であれ樹脂コーティングされているフローリングにはほぼ吸湿性がないと思われます。
2.ウールカーペットの場合
WOOLTILE (色:モカ/柄:フレーム)を使用しました。
同様に湿度を80%の状態にしてカーペットを入れ、グラスを抜きます。
調質性があるといわれるウールですが、、、
3分経過 湿度72%
5分経過 湿度70%
10分経過 湿度70%
見事に10%下がりました。
5分後の70%から下がらなかったのは限られた面積のウールが吸収できる湿度が限界値になったものと思われます。
3.ポリプロピレンカーペットの場合
つづいてホームユースのタイルカーペットで実験してみます。家庭向けタイルカーペットの素材として最もポピュラーなポリプロピレン製で実験してみます。ポリプロピレンは身近なところでは「使い捨てマスク」「収納ボックス」などで使用されている素材です。素材として吸湿性はないようですが・・・。
3分後 湿度77%
5分後 湿度78%
10分後 湿度82%
一瞬下がりましたが、結果として82%と吸湿性は認められませんでした。
4.ポリエステルカーペットの場合
つづいてホームユースのラグで多く使用されているポリエステルで実験してみました。ポリエステルはスポーツウエアやペットボトルなどで使われている素材です。ポリプロピレン同様吸湿性がない素材ですが・・・
3分後 湿度77%
5分後 78%
10分後 湿度82%
やはり吸湿性は認められませんでした。
3分 | 5分 | 10分 | |
フローリング | 81% | 82% | 84% |
ウール | 72% | 70% | 70% |
ポリプロピレン | 77% | 78% | 82% |
ポリエステル | 77% | 78% | 82% |
あくまで身近な道具を使った実験ですので、試験機関のような厳密さはありませんが、ウールカーペットに吸湿性があることは実証できました。とはいえエアコンや除湿乾燥機などのような速効性のあるものではなく、じんわり効果のあるものです。
ウールを敷き込んだ部屋では、梅雨時期でもフローリングに比べて床のベタつきがなく、さらっと過ごせます。冬はあたたかく、夏でもさらっとしていて、一年を通して快適に使えるのがウールのカーペットです。
じめじめして寝苦しい夜が続きますが、エアコンをつけたままで寝てしまうと翌朝身体が重かったり、だるかったり、喉を痛めてしまったりなどの弊害もあります。寝苦しいけど、エアコンをつけっ放しでは寝たくない、そんな方には寝室に広い面積でウールカーペットを敷いていただくとよいかもしれません。静音性にも優れているので足音で寝ている家族を起こすなんてことも少なくなります。