1962年に大阪府和泉市で創業の堀田カーペットは、ウィルトン織機でウールカーペットを作り続けています

社員インタビュー

「この会社には
ものづくりのプロセスがすべてある」

配送センター/中村真さん

堀田カーペット本社工場から南へ徒歩1分。完成したカーペットを出荷する「配送センター」があります。ずどーんと広くて天井の高い倉庫のような建物で、壁際の大きな棚には定番商品の在庫や出荷待ちのカーペットがぎっしり。中央では、広げた大きなカーペットの上で「検反」という作業している人たちがいました。

「完成したカーペットに傷や汚れはないかを見て、最後は手で触りながら確認していきます」。

と、教えてくれたのは配送センターで働く中村真さん。織工のみなさんが丹精こめて織り上げたカーペットを、無事に納品先に届けるまでにはどんなプロセスがあるでしょうか?

中村真(なかむら・まこと )

香川県出身。京都で和食の料理人、東京での自転車店勤務を経て、2023年入社。タフティング体験をきっかけに織物業界に関心をもち、堀田カーペットに出会った。素材づくりから織り、出荷、施工まで、ものづくりの全工程があるところに惹かれたという。

鉄壁の守りを目指す「配送センター」の仕事

カーペットが配送センターに届いてから出荷するまでを、順を追って聞いてもいいですか?

まずは反物を広げて見て、傷や汚れがあった場合は必要な補修をします。その後は、カーペットを敷く空間に合わせて切り方などの指示が書かれた指図書に基づいてカットします。たとえばホテルの部屋なら、ドアを開けると廊下があって、奥にベッドなどを置く部屋がありますよね。部屋のかたちに合わせてカットするのですが、反物に傷がある場合は、家具で隠れる可能性のある場所に来るように配慮しながら切っていきます。

間違ってカットしたらそれこそ一巻の終わりですね。すごく緊張しそうです。

切る順番を間違えると真っ青になります。ただ、人がすることなのでミスは起きるという前提で、ミスをなくす仕組みを考えるようにしています。たとえば、刃物の混入を避けるために道具は必ず定位置に置く、メーター数など確認する項目をリストにしてチェックする、作業は必ず2人1組で進めて常にダブルチェックする……など。それでも何十反もあるとヒューマンエラーが出てしまうので、よりミスを減らすしくみづくりは日々考えていますね。

今、センターで一緒に働いているのはどんな人たちですか?

41歳と21歳、33歳の僕の3人です。僕らは7時から18時まで仕事するから、家族よりも長く一緒にいるんですよ。ふたりには「なんでも言い合える関係性をつくろう」と言っています。年齢も出身も考え方も違うけど、「いい反物をいい状態で出荷する」という目標があるから、そこに向けてみんなが働きやすい環境をつくっていきたいですね。

完成したカーペットを広げた瞬間の迫力

配送センターは「最後の砦」みたいなイメージでしょうか。

そうですね。ミスを出さないことに加えて、納期を守るというプレッシャーもあります。スケジュールが押していると、出荷の前々日になって反物がセンターに入ることもあって。そういうときは3人でガッと集中してやるしかないというしんどさはありますね。

緊張感の高いお仕事だと思いますが、面白さを感じるところはありますか?

配送センターにいると、堀田カーペットの反物を全部見られるんです。何十メートルもあるカーペットを広げるとやっぱりすごく迫力があります。同じ会社でつくっているのに、いろんなループやカットがあって、それを手で触りながら見るのはすごく面白いです。敷かれる場所によって、反物の厚みや硬さは違っていて。たとえば、同じホテル内でも多くの人が歩く宴会場は硬めですが、客室は柔らかめになっていたり。その違いを、言葉だけでなく体感を通して納得できます。

毎日たくさんの反物を見るなかで感じているカーペットの魅力を教えてください。

「なぜ、このホテルはこのデザインや色使いを選ぶのか?」という視点で見ると面白いんです。たとえば、ホテルの別注品は無地のカーペットであっても「そのホテルっぽさ」があります。使われている糸の種類や硬さ、織り方にはすべて意味があるとわかってきて、プライベートで遊びに行ったときも絨毯を見るようになりました。ファブリックや素材が好きな人なら、この仕事はすごく楽しいと思います。

全部の工程を自分でやってみたい

これからやってみたい仕事はありますか?

もともと、織工希望で入社したので、織りたいとは思っていて。今は夕方から一時間だけ工場に入らせてもらったりしながら、いつか来るタイミングに向けて準備しています。

もうひとつは、出荷の次の工程にあたる施工をやりたいです。織りやセンターの仕事には、製造工程の全体が見えるやりがいはあるけど、外部の人たちと話す機会はほとんどなくて。どういうところに敷かれているのかは、図面でしか見られないんです。また、施工には年配の方しかおられないので、このままだといつかは自分たちがつくって納品したものを施工できなくなる日が来てしまいます。自分たちで織って、検反してカットして、自分たちで施工してなおかつお客さんに喜んでもらえて、しかも利益にもなるなら、組織として理想的です。施工のチームをつくって、できる仕事の幅が広がっていけばいいなと思っています。

会社のなかでやりたいことがたくさんありますね。会社には応援してもらえる雰囲気はありますか。

新しいチャレンジに対して、社長をはじめ社内の人たちは「どんどんやったらええやん」って言ってくれます。ただ、そのチャレンジを評価する制度やしくみはまだないので、これから社長や上司と一歩踏み込んだ話をしながら信頼関係を築いていけたらいいなと思っています。

ものづくりのしくみを理解したい人に向いている

どんな人がこの仕事に向いていると思いますか?

工場の織機もセンターにある巻き取り機も、50〜60年前の古い機械です。プラモデルを説明書なしで組み立てるような感覚で仕事をしないといけないというか。頭のなかでしくみを理解して手を動かしながら直すのが楽しいと思える人は向いているんじゃないかな。

会社には、黙々と仕事をするのが好きな人が多いのでしょうか。

いや、人と話すことや人間関係が苦手な人はちょっと厳しいです。僕もそうでしたが、「手に職をつけたい」「ひとつのことに向き合いたい」人がこの会社に興味をもつと思うんですけど。織工をするにしても最初は教えてもらわないといけないし、作業は2〜3人ですることも多い。ずっと一人の世界に閉じこもって機械に向き合うというわけではないんですね。どちらかというと、みんなに各々の役割があって、大きな空間をつくっていくイメージですね。

ものづくりが好きで、ものづくりのしくみが気になって知りたくなる人は、すごい楽しみながら仕事できそうやなと思いますね。シンプルに織物が気になっていて、ものづくりが好きで興味がある人には働きやすい環境かなと思います。今は若い世代も増えていて、人間関係の面でもよくなってきていますから。


自転車店で働いていたときは、組み立てや整備はもちろん、乗ること自体も得意で新商品のプロモーション動画づくりもしていたという中村さん。ただ、自転車を「組み合わせてつくる」ことに飽き足らず、「ものづくりらしいものづくりをしたい」と堀田カーペットを選んだそうです。

「何をつくるか」も大事だけど、「どうつくるのか」にも興味を広げていく堀田さんの考え方に共感してしまう人は、きっと堀田カーペットに活躍の場所が見つかるだろうと思います。何よりも、この会社で堀田さんと一緒に働くことが新しい刺激になるにちがいありません。

取材・執筆:杉本恭子
写真:前田敏幸(taido.design)
編集:今井雄紀(ツドイ)