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すべりにくい床材とは?カーペットの安全性

女の子がカーペットに座っている様子

全国のカーペットを製造する会社が所属している団体に「日本カーペット工業組合」というのがあります。堀田カーペットも所属しています。

この組合は、下記のような、ものづくりをする上で大切なことの取り決めや、カーペットの正しい知識を伝える活動をしています。

  • 国や自治体からのアナウンスを受け取り組合員に情報を共有する
  • JIS規格など基準をきめる
  • カーペットの耐久性やメンテナンス性について統一の基準をつくる
  • お客様にわかりやすくカーペットの魅力を伝える

そんな日本カーペット工業組合が、新しく「カーペットはすばらしい」という冊子を発刊いたしました。正直なところ文字数も多いですし、興味のある方でもなかなか手にとりにくいものだと思います。しかしこれほどカーペットの良さがデータでわかる冊子は、他にないと思います。

今回は「カーペットはすばらしい」から「安全性」について、堀田カーペットの経験も踏まえてご紹介したいと思います。

「転倒・転落」は命の危険

厚生労働省から出ているデータによると、家庭内での「転倒・転落」による死者数は15,000人程度で、なんと交通事故による死者数3,500人程度の約4倍にものぼります。

筆者自身の経験では、祖母が階段から転落して、大腿部骨折、その後車椅子生活になりそのまま復活できなかったという苦い思い出があります。

こういったデータから見ても、家づくりの際に安全性を考えることは重要なポイントです。バリアフリーであることや、ヒートショックを防ぐ、など数多くの配慮すべき点があるかとは思いますが、毎日接する「床材」にも、ご注目いただければと思います。

家庭内での不慮の事故による死者数は、2018年で14,984人に達しており、この数字は交通事故死者数(3,532人)の約4倍となっています。そのうち2割近くが、「転倒・転落」による死者数で、なかでも「同一平面上のすべりやつまづき」が「転倒・転落」の過半数をしめています。特に近年では、80歳以上の高齢者の比率が高まっています。また、家庭内の事故発生場所については居室が最も多く、65歳以上では階段の危険性が高くなっています。

引用元: 「新訂カーペットはすばらしい」追補版

カーペットが命を守ることも

カーペットは、そもそも滑りにくい床材です。東京工業大学の研究では、他の硬質系床材に比べて圧倒的に滑りにくいという結果が出ています。

カーペットはすべりにくい床材。「すべる」とは図のように水平力が抵抗力よりも大きいときに起きる現象で、逆に抵抗力が大きい場合は、すべりにくく転倒しにくいということになります。図4では、主な床材のすべり抵抗値を表しています。普段の生活で最もすべりやすい、靴下をはいた状態で比較したところ、カーペットは安全の許容値0.28以上に対し、0.51と大幅に上回りました。これは踏み込んだとき一時的にへこみが生じ、それが引っ掛かりとなって抵抗力が大きくなったと考えられます。なお塩ビタイルは0.36、木質床は0.35といずれも許容値の0.28は超えているものの、カーペットの0.51に比べると大きく下回ります。

引用元: 「新訂カーペットはすばらしい」追補版

フローリングの床はすべりやすく硬いため、歩き始めた子供を歩かせるのは心配で、コルクマットなどを敷く家庭も多いと思います。その点カーペットは、すべりにくく柔らかいため、安心して歩かせることができるので、筆者の家では子供が歩き始めたころから家中を歩き、階段の行き来もしていました。(筆者の家では家中、階段までカーペットを敷いています)

もちろんカーペットだからといって、全く滑らないわけではありません。筆者の家でも子供が小さい頃、階段から転落した経験があります。ただ、カーペットはそもそも衝撃も吸収してくれる床材なので、幸い大きな怪我にはいたりませんでした。

すべりにくいとはいえ、カーペットはすべてのお客様のご要望に答えられる床材ではありません。安全性についても、様々な観点があると思います。ただ、床材が安全性にも影響するということは、あまり知られていないように思います。

フローリングが主流となった昨今、床材の選択肢にカーペットを入れられる方は多くはありません。ただ、このようなデータを元に、それぞれの床材の特性をご理解いただき、選択肢のひとつにカーペットを加えていただければ幸いです。

(参考)日本カーペット工業組合