DICTIONARY
一口にカーペットと言っても、実はいろいろな作り方があり、様々な特徴があります。今回は作り方のひとつである「ハンドタフテッド製法」のものづくりを見ていきたいと思います。
堀田カーペットのラグブランド・COURTのシリーズでは、「Local Woolen Court」「Colored Court」がこの「ハンドタフテッド製法」で作られています。
手織りと機械織りの中間であるハンドタフテッド製法
まずカーペットの製法には大きく分けて「手織り」と「機械織り」があります。「手織り」は、針やハサミのような道具を使いながら手作業でつくるもので、ペルシャ絨毯やギャッベ、ベニワレンなどが有名です。
「機械織り」は読んで字のごとく、機械を使って作られたもので、堀田カーペットで使っている「ウィルトン織機」をはじめ、「アキスミンスター織機」や「タフテッド」「ニードルパンチ」「ミシン」など様々なタイプの機械で作られています。
今回説明する「ハンドタフテッド」は分類上は「機械織り」になりますが、個人的には「手織り」と「機械織り」の中間的なものづくりだと思っています。
ハンドタフテッドカーペットの作り方
さて、本題の「ハンドタフテッドカーペットの作り方」に入りたいと思います。
製経(せいけい)
まずは下準備です。「綛(かせ)」と呼ばれる状態のウール糸を「ワインダー」でコーン(円錐状の芯)に巻き取ります。
次に適度な太さにするために糸を複数本に引き揃え、コーンに巻取ります。
そして糸のくせをスチームで直します。
アイロンや髪の毛の寝グセ直しのようなものです。
これで糸の準備完了です。
基布セット
次に基布と呼ばれる綿布を木枠にセットします。しっかりとムラなくテンションをかけてセットします。テンションにムラがあると商品が歪んでしまったり、仕上がりサイズに差異がでてしまうので重要な作業です。
製織
この基布に「フックガン」と呼ばれる電動の道具でパイルを打ち込んでゆきます。
COURTの商品は無地なので、簡単そうに見えますが、何のガイドもないキャンバスに等間隔・等ピッチで打ち込む技術は正に職人技です。そしてとても根気のいる作業です。
打ち込んでいる反対側が商品の「表」になります。
パイル(毛足)を打ち込み終わると次は裏の処理作業です。
裏面処理
パイルを差し込んだだけの状態では、簡単に抜けてしまうので、裏面に「ラテックス」と呼ばれる白い樹脂を均等に塗ります。
乾燥
そして樹脂の上にもう一枚布をかぶせ、ローラーをかけてしっかり接着させます。季節によって1日半〜3日ほどしっかり乾燥するまで待ちます。
レージングとシャーリング
しっかり乾燥したら、「レージング」と「シャーリング」と呼ばれる作業を行います。
パイル(毛足)を打ち込んだだけの状態ではパイルが不揃だったり、パイルが埋まってしまっていたりします。
そこでまず、しっかり「レージング」と呼ばれるパイルを起こす作業をして、その後「シャーリング」というパイルを刈り揃える作業をします。
大きな電気カミソリのようなものです。
画像は小さなマットですが、大きなサイズのラグであっても上下左右何度もシャーリング機をかけます。
仕上げ
毛並みがきれいに揃ったところで、最後の仕上げをします。
余分な布をハサミでカットし、
ラテックスを塗り、
アイロンで接着し、
さらに内側に折込み、
アイロンとラテックスで接着してゆきます。
四辺とも同様の作業を行い、角をきれいに仕上げて完成です。
このように、ひとつひとつの丁寧な手作業によってつくられる「Local Woolen Court」や「Colored Court」はまさにオーダーメイド。あなたのためだけの1枚ではないでしょうか?
しっかりとした厚みと密度感、縁かがりのないすっきりとした仕上がりは「ハンドタフテッド製法」ならでは商品です。
撮影協力:辻寛敷物株式会社
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